施工管理は「きつい」と言われる一方で、「意外と楽」「楽すぎ」という声もあります。どちらが本当かは、働く会社と担当する工事によって変わります。

この記事では、国土交通省が建設会社に尋ねた調査と、建設会社の職員組合の調査から、残業が少なく休みを取りやすいのはどんな会社なのかを確かめます。楽かどうかの感じ方は人それぞれなので、数字で比べられる残業時間と休日に絞って見ていきます。

会社の条件技術者の月の平均残業が15時間未満技術者の休日が4週8休以上
全体49.9%38.5%
完成工事高5,000万円未満81.0%40.5%
完成工事高50億円以上9.0%36.5%
公共工事がほとんど65.1%67.0%
民間工事がほとんど44.5%21.6%
元請工事が主48.7%46.7%
下請工事(二次以降)が主42.1%18.4%
出典:国土交通省「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和7年度)」建設企業編 問1-18-1・問1-20-1-1。会社ごとの回答の割合で、技術者を直接雇用していない会社を除いた1,459社の集計です。

平均の残業が長くても、月30時間未満の人は約3割いる

日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)の時短アンケートでは、2025年11月の外勤(建築)の所定外労働時間は平均41.0時間でした。ただ、平均は残業の長い一部の人に引っ張られます。同じ調査で、残業時間ごとの人の割合を見ると次の通りです。

区分30時間未満30〜45時間未満45〜80時間未満80時間以上
内勤74.7%18.0%6.5%0.8%
外勤31.9%34.2%28.3%5.6%
外勤(建築)29.5%32.5%30.9%7.1%
外勤(土木)30.6%37.2%27.5%4.7%
出典:日建協「2025時短アンケートダイジェスト」図2(2025年11月の所定外労働時間の分布)。45〜80時間未満と80時間以上は、元の区分を当サイトで合計しました。

現場に出る外勤でも、約3割は月30時間未満でした。45時間未満まで広げると、外勤の3人に2人(66.1%)が入ります。一方で、80時間以上の人も外勤の5.6%います。「意外と楽」という声と「きつい」という声は、同じ職種の中で、どちらも出てくる数字です。

外勤は現場で工事を管理する職員、内勤は支店や本社で働く職員です。回答者はゼネコンを中心とする規模の大きな建設会社の組合員なので、中小の会社も含めた数字は、次の国土交通省の調査で確かめます。

会社の規模が小さいほど、残業は少ない

国土交通省の「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」は、建設業の業界団体に加入している会社に、自社の技術者と技能者の働き方を尋ねる調査です。令和7年度は2026年1月1日時点の状況を尋ね、2,024社が回答しました。結果には、会社の完成工事高(1年間に完成させた工事の金額)ごとの集計が載っています。

完成工事高平均残業が15時間未満最大残業が60時間以上
5,000万円未満81.0%0.0%
5,000万円以上1億円未満73.7%2.1%
1億円以上3億円未満69.1%4.7%
3億円以上5億円未満61.3%3.2%
5億円以上10億円未満52.2%4.4%
10億円以上30億円未満41.4%8.2%
30億円以上50億円未満24.1%14.4%
50億円以上9.0%37.4%
全体49.9%10.0%
出典:国土交通省「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和7年度)」建設企業編 問1-20-1-1(月当たり平均残業時間)・問1-20-1-2(月当たり最大残業時間)。技術者について、会社ごとの回答の割合です。最大残業が60時間以上は、60〜80時間未満・80〜100時間未満・100時間以上の合計(当サイトで計算)。

技術者の月の平均残業が15時間未満と答えた会社は、完成工事高5,000万円未満で81.0%、50億円以上では9.0%でした。完成工事高が大きくなるほど、この割合は下がっていきます。50億円以上の会社で一番多かった答えは「30時間以上45時間未満」(44.5%)です。

忙しい月の残業にも差があります。最も多い月の残業が60時間以上と答えた会社は、5,000万円未満では1社もありませんでしたが、50億円以上では37.4%でした。

完成工事高は、会社の人数とも重なります。この調査に回答した会社全体で見ると、完成工事高5,000万円未満の会社の92.3%は従業者29人以下でした。50億円以上の会社では、87.2%が従業者100人以上です。

国の賃金統計でも、向きは同じです。令和7年賃金構造基本統計調査では、1,000人以上の会社の建築技術者の超過実労働時間は月23時間で、10〜99人の会社の10時間より長くなっています。

一方で、休みの取りやすさは規模であまり変わりません。技術者の休日が4週8休以上と答えた会社は、完成工事高5,000万円未満で40.5%、50億円以上で36.5%でした。会社が答えた平均的な残業時間なので、一人ひとりの残業や、会社に報告されていない残業までは分かりません。

公共工事が中心の会社は、休みを取りやすい

休みの差がはっきり出るのは、公共工事と民間工事のどちらが多い会社かです。

公共工事と民間工事の割合4週8休以上4週6休程度平均残業が15時間未満
公共工事がほとんど67.0%18.7%65.1%
公共工事が多い40.8%33.0%51.8%
公共と民間がほぼ同程度31.3%35.2%50.0%
民間工事が多い25.4%40.3%37.7%
民間工事がほとんど21.6%39.8%44.5%
出典:国土交通省「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和7年度)」建設企業編 問1-18-1・問1-20-1-1。「ほとんど」は9割以上、「多い」は6割以上9割未満です。

技術者が4週8休以上の会社は、公共工事がほとんどの会社で67.0%、民間工事がほとんどの会社で21.6%でした。民間工事が中心の会社では、「4週6休程度」が一番多い答えです。

残業も、公共工事がほとんどの会社が一番少なめです。ただ、民間工事がほとんどの会社(44.5%)は、民間工事が多い会社(37.7%)より15時間未満の割合が高く、残業は休みほど順番どおりには分かれていません。

日建協の調査からは、民間の発注者の工事で、閉所の予定が途中で崩れやすいことも分かります。受注したときに4週8閉所だった作業所の割合と、調査時点の工程表で4週8閉所になっている割合を、発注者ごとに比べたものです。

発注者受注時調査時点
国土交通省95.0%88.3%
都道府県87.4%75.9%
民間ディベロッパー71.2%43.9%
外資系企業69.2%43.6%
全体76.6%63.5%
出典:日建協「2025時短アンケートダイジェスト」図14から、一部の発注者を抜き出しました。工程表上の閉所設定が4週8閉所の作業所の割合です。

国土交通省の工事は、受注時の95.0%から調査時点の88.3%と、大きくは崩れていません。民間ディベロッパーと外資系企業の工事は、どちらも受注時の約7割から4割台まで下がりました。日建協は、4週8閉所が減った分、4週4閉所が大きく増えたとしています。

公共工事と民間工事の差は、現場のトイレにも出ています。国土交通省の2024年の調査で、女性が快適に利用できるトイレが「概ね整備されている」と答えた割合は、国発注の公共工事で63%、民間工事で33%でした(女性の施工管理はきつい? 年収・育休・トイレを国の資料で見る)。

公共工事の経験は、発注者の側に移るときにも生きます。国や自治体の経験者採用については、施工管理からの転職先は? 同業・発注者側・異業種の3つの道で扱っています。

元請は休みが多く、一次下請は残業が少なめ

同じ調査では、元請と下請のどちらの工事が主な会社かでも集計しています。

主に請け負う立場4週8休以上平均残業が15時間未満
元請工事が主46.7%48.7%
下請工事(一次)が主26.7%55.0%
下請工事(二次以降)が主18.4%42.1%
元請と下請がほぼ同程度39.4%45.8%
出典:国土交通省「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和7年度)」建設企業編 問1-18-1・問1-20-1-1。

4週8休以上の会社は、元請工事が主の会社で46.7%、二次以降の下請工事が主の会社で18.4%でした。下請の階層が深くなるほど、この割合は下がります。

残業では順番が変わり、平均残業が15時間未満の会社は、一次下請の工事が主の会社(55.0%)が元請工事が主の会社(48.7%)を上回りました。休みを重く見るか、残業の短さを重く見るかで、合う会社は変わってきます。

残業が少ない会社で、引き換えになりやすいもの

残業の少なさと引き換えになりやすいのが、年収です。賃金構造基本統計調査から当サイトで計算した建築技術者の年収の目安は、1,000人以上の会社で約860万円、10〜99人の会社で約585万円でした。この統計の月の給与には残業代が含まれるので、残業の少ない会社の年収は低めに出ます。規模別の数字は、施工管理の年収は? 賃金統計で見る年代別・会社規模別の目安で詳しく見ています。

大手ゼネコンの施工管理が法律上どんな役割を負い、会社としてどれくらいの工事を受け持っているかは、ゼネコンの施工管理とは? 大手と中小の違いを法律と統計で見るで確かめています。

数字の出どころにも限りがあります。国土交通省の調査は会社が答えた平均的な時間で、日建協の調査は規模の大きな会社の組合員の答えです。どちらからも、小さな会社で働く一人ひとりの忙しさまでは分かりません。

求人を見るときに確かめられること

ここまでの数字から、会社を見るときの手がかりは三つあります。

公共工事を請け負っているかどうかは、公表されている資料でも確かめられます。公共工事を発注者から直接請け負う建設業者は、経営事項審査を受けることになっているからです。

公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。

出典:建設業法 第27条の23第1項(e-Gov法令検索)

経営事項審査の結果は、国土交通省と都道府県の委託を受けて、建設業情報管理センター(CIIC)が公表しており、会社の名前で検索できます。

経営事項審査の点数には、退職金や法定外の労災補償、資格の勉強の支援など、会社が社員に何をしているかを示す項目もあります。その読み方は、施工管理のホワイト企業の見分け方は? 国のデータで確かめるで説明しています。

求人票や会社案内から分からないことは、建設業界専門の転職エージェントの面談で、応募先の現場の様子とあわせて尋ねる方法もあります。面談は無料です。ビルドジョブ|建設業界特化の転職エージェントの無料キャリア面談

残業と休みの数字は、2024年4月の上限規制をはさんで大きく動いています。規制の前と後の比較は施工管理の残業時間は減った? 上限規制の前と後を統計で見るで、他の産業と比べた労働時間と離職率は施工管理は「やめとけ」「きつい」? 労働時間と離職率を統計で見るで整理しています。

参考にした資料