「施工管理の平均年収は○○万円」という数字は、求人サイトや転職サービスの記事によく出てきます。ただ、その数字がどの調査の、どの表から来たのかが書かれていることは多くありません。

この記事では、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)の表を使って、施工管理の年収の目安を確かめます。国の統計に「施工管理」という職種名はありませんが、施工管理を含む職種の数字は公表されています。年代と会社の規模で、その数字がどれくらい変わるのかも見ていきます。

統計の「建築技術者」「土木技術者」に施工管理が含まれる

賃金構造基本統計調査は、職種ごとの賃金を公表しています。職種の解説を見ると、施工管理はそれぞれ次の職種に含まれています。

職種含まれる代表例含まれないもの
建築技術者建築士、建築施工管理技術者、建築設計監督技術者、建築現場監督大工、型枠大工、とび職など
土木技術者土木施工管理技術者、土木現場監督、建設技術士、上下水道技術士、道路技術者、河川土木技術者土木作業員、測量士など
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 役職及び職種解説」から作成。

建築技術者には施工管理の他に建築士や設計の技術者も入っていて、施工管理だけの数字ではありません。一方で、現場で作業する職人は別の職種に分けられているので、職人の賃金とは混ざっていません。この記事では、この二つの職種を施工管理に一番近い数字として扱います。

年収の目安は、建築技術者で約679万円

この調査は年収そのものを公表していないので、月の給与と年間の賞与から年収の目安を計算します。計算に使う二つの項目の意味は、厚生労働省の用語の説明によると次の通りです。

「きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額」で計算すると、次のようになります。対象は、企業規模10人以上の一般労働者です。

区分平均年齢月の給与年間賞与年収の目安
建築技術者43.4歳45万6,200円131万6,100円約679万円
土木技術者46.0歳41万7,900円123万4,700円約625万円
建設業(全ての職種)45.5歳39万6,500円116万3,400円約592万円
産業計(全ての職種)44.4歳37万500円100万9,600円約546万円
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表、産業大分類 第1表(企業規模10人以上)。月の給与は「きまって支給する現金給与額」、年収の目安は月の給与×12+年間賞与で当サイトが計算。

建築技術者の年収の目安は約679万円、土木技術者は約625万円でした。建設業で働く人全体の約592万円や、全産業の約546万円より高い水準です。求人サイトでよく見る「600万円前後」という数字と比べると、土木技術者はおおむね同じで、建築技術者はそれより高く出ています。

ただし、この月の給与は残業代込みの金額です。建築技術者の6月の超過実労働時間は平均17時間で、全産業の11時間より長くなっています。年収の高さの一部は、残業の多さから来ていると考えられます。

年代別に見ると、一番高いのは55〜59歳

同じ調査の年齢階級別の表から、年代ごとの年収の目安を計算します。

年齢建築技術者土木技術者
20〜24歳約411万円約435万円
25〜29歳約551万円約555万円
30〜34歳約636万円約599万円
35〜39歳約710万円約668万円
40〜44歳約747万円約625万円
45〜49歳約765万円約686万円
50〜54歳約808万円約726万円
55〜59歳約880万円約735万円
60〜64歳約743万円約646万円
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第5表(企業規模10人以上)から当サイトが計算。

20代前半は400万円をわずかに超える程度で、20代後半で約550万円、30代後半で670万〜710万円ほどになります。建築技術者は55〜59歳の約880万円、土木技術者は同じ年代の約735万円が一番高く、60歳を過ぎると下がります。

この表は、2025年の時点で各年代に属する人の平均を並べたものです。一人の人が年を重ねたときの給与の伸びを追ったものではありません。土木技術者の40〜44歳が35〜39歳より低くなっているように、年代の間で数字が前後するところもあります。

会社の規模で、約200万〜275万円の差がある

同じ職種でも、勤める会社の規模で数字は大きく変わります。

企業規模建築技術者土木技術者
1,000人以上約860万円約760万円
100〜999人約659万円約655万円
10〜99人約585万円約563万円
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表から当サイトが計算。

建築技術者では、1,000人以上の会社と10〜99人の会社で、年収の目安に約275万円の差があります。土木技術者でも約197万円です。

建築技術者で差の中身を見ると、月の給与は56万400円と40万400円で、12か月分にすると192万円の差です。賞与は187万9,900円と104万9,800円で、約83万円の差があります。差の7割ほどは、月の給与から来ています。

この月の給与は、残業代を含む額です。1,000人以上の会社の建築技術者は、超過実労働時間が月23時間で、10〜99人の会社の10時間より長くなっています。また、前年(令和6年)の同じ計算では差は約143万円でした。規模別の数字は、年によって大きく動きます。

数字を読むときに気をつけること

求人票の年収と比べるときは

自分の年収や求人票の条件をこの統計と比べるなら、全体の平均ではなく、同じ年代と同じ会社の規模の数字と比べると、差が読みやすくなります。30代前半で、社員100〜999人の会社に勤める建築の施工管理なら、年代の数字の約636万円と、規模の数字の約659万円が目安の範囲です。

求人票の年収を見るときは、その金額に残業代が何時間分含まれているのかも確かめてください。統計の月の給与も残業代を含んでいるので、残業の少ない会社の年収が低めに見えるのは、ある程度は当然のことです。施工管理の残業時間の実態は、施工管理は「やめとけ」「きつい」? 労働時間と離職率を統計で見るで扱っています。

参考にした資料