1級施工管理技士を取ると、年収はどれくらい上がるのでしょうか。資格を取るかどうか、転職で資格を生かせるかを考えるときに、気になるところです。

先に書いておくと、1級と2級で年収を比べた国の統計はありません。この記事では、1級と2級で何が違うのかを、建設業法、国土交通省の経営事項審査の基準、厚生労働省の手当の統計から確かめます。

違い1級2級
指定建設業(7業種)の監理技術者なれる2級だけではなれない
経営事項審査の技術職員の点数5点(講習を受けた監理技術者資格者証の保有者は6点)2点
第一次検定に合格したときの称号1級技士補2級技士補
資格手当会社ごとに決まる(建設業で支給された人の平均は、資格以外の手当も含めて月1万5,200円)
出典:建設業法、建設業法施行令、国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」、厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」。それぞれ本文で説明します。

1級と2級で年収を比べた国の統計はない

国の賃金統計である賃金構造基本統計調査は、職種ごとの賃金を公表しています。施工管理が含まれるのは「建築技術者」「土木技術者」という職種で、資格を持つ人と持たない人を分けた数字はありません。

検索で見かける1級と2級の年収の数字には、出典が書かれていないものがあります。その場合、何人のどんな人を集計した数字なのかが分かりません。職種全体の年収の目安は、施工管理の年収は? 賃金統計で見る年代別・会社規模別の目安で見ています。

ここでは、資格によって変わることを、就ける立場、会社の評価、手当の三つに分けて確かめます。

1級がないと就けない立場がある

建設業法は、工事現場に主任技術者か監理技術者を置くよう定めています(二つの違いは施工管理と現場監督の違いは? 施工監理・工事監理・CMとの関係も整理で扱っています)。発注者から直接請け負った特定建設業者が、下請に出す金額の合計が政令で定める額以上になる工事では、監理技術者を置きます(建設業法第26条第2項)。その額を定めているのが、次の条文です。

法第三条第一項第二号の政令で定める金額は、五千万円とする。ただし、同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合においては、八千万円とする。

出典:建設業法施行令 第2条(e-Gov法令検索)

監理技術者になれる人は、工事の種類によって違います。土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7つは、指定建設業と呼ばれます(建設業法施行令第5条の2)。この7業種の監理技術者は、1級の国家資格を持つ人などに限られます(建設業法第26条第2項・第15条第2号)。監理技術者資格者証を交付している建設業技術者センターも、次のように説明しています。

指定7業種(「土木」、「建築」、「管」、「電気」、「造園」、「鋼構造物」、「舗装」)については、1級国家資格者等に限られ、実務経験での資格者証は取得できません。

出典:よくある質問(Q&A)(一般財団法人 建設業技術者センター)

2級の技術検定は、主任技術者として必要な知識と能力を判定する検定です(建設業法施行令第37条)。2級を持っていても、この7業種で下請に大きく出す元請の工事では、監理技術者にはなれません。

電気工事業では、第一種電気工事士の免状で主任技術者にはなれますが、この監理技術者の要件には入っていません。電気の施工管理で1級が要る場面は電気施工管理とは? 仕事内容と電気工事士との違いを法律で整理で確かめています。

逆に言えば、指定建設業ではない22業種には、2級でも監理技術者になれる道があります。主任技術者の要件に加えて、元請として請け負った4,500万円以上の工事で2年以上の指導監督的な実務経験があればよい、という定めです(建設業法第15条第2号ロ、同施行令第5条の3)。業種ごとの違いは施工管理の資格とは? 7種類の技士と29業種の対応を法律で整理で整理しています。

もう一つ、専任の決まりがあります。対象は、国や地方公共団体が発注する工事や、学校・病院などの工事で、請負代金が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上のものです。こうした工事では、主任技術者や監理技術者を原則としてその現場に専任で置く必要があります(建設業法第26条第3項、建設業法施行令第27条)。専任の監理技術者は、監理技術者資格者証の交付を受け、国土交通大臣の登録を受けた講習を受けた人から選ぶことになっています(建設業法第26条第5項)。

会社にとっての価値は、経営事項審査の点数に出る

公共工事を発注者から直接請け負う建設業者は、経営事項審査を受けます(建設業法第27条の23)。審査の項目の一つが「技術職員数」で、会社にいる技術職員を資格ごとに点数にします。

区分主な例点数
一級監理受講者1級技術者のうち、監理技術者資格者証の交付を受け、講習を受けた年の翌年から数えて5年以内の人6点
一級技術者1級施工管理技士など(建設業法第15条第2号イに該当する人)5点
監理技術者補佐1級技士補で、主任技術者の要件も満たす人など4点
基幹技能者など登録基幹技能者講習を修了した人、技能の評価が最上位(レベル4)の技能者3点
二級技術者2級施工管理技士など2点
その他の技術者学歴と実務経験で主任技術者の要件を満たす人など1点
出典:国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」(令和8年7月1日施行の改正を反映したもの)。点数は、許可を受けた建設業の種類ごとに数えます。「主な例」は当サイトでまとめたものです。

一級技術者は5点、二級技術者は2点なので、点数の上では、1級を持つ人1人が2級を持つ人2.5人分にあたります。講習を受けて監理技術者資格者証を持てば、6点に上がります。

公共工事を請け負う会社にとって、1級を持つ社員が増えることは、この点数が上がることにつながります。ただし、点数が上がった分を給与に反映するかどうかは、会社が決めることです。

技術職員として数えられるのは、審査基準日以前に6か月を超えて会社に雇用されている人です。資格を持っていても派遣社員として働く場合の扱いは、施工管理の派遣はやめとけ? なれない立場と給料を法律と統計で見るで説明しています。

資格手当は、建設業で支給する会社が多い

厚生労働省の就労条件総合調査は、「技能手当、技術(資格)手当など」を払っている企業の割合と、支給額を産業別に公表しています。令和7年の調査は、常用労働者30人以上の民営企業を対象に令和6年11月分の手当を尋ね、3,820社が回答しました。

技能手当、技術(資格)手当など建設業製造業調査産業計
支給した企業の割合77.6%50.8%53.0%
支給された人の1人平均(月額)1万5,200円1万8,500円2万1,500円
出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」第26表・第27表(令和6年11月分)。支給した企業の割合は、諸手当を支給した企業に占める割合です。

建設業では、この手当を払った企業が77.6%で、調査産業計の53.0%を大きく上回りました。一方、支給された人の1人平均は月1万5,200円で、調査産業計の2万1,500円より低くなっています。12か月分にすると18万2,400円です(当サイトで計算)。

この手当には、施工管理技士以外の資格や、技能に対して払う手当も含まれます。1級と2級で手当がいくら違うかは、この調査からは分かりません。

資格手当の額は、施工管理の給与の高さの一部でしかありません。全産業との年収の差 約133万円のうち6割は、資格手当を含む所定内給与でした。差の中身は施工管理の給料が高い理由は? 残業代・基本給・賞与を統計で分解で分解しています。

1級を目指す途中にも、評価される段階がある

1級の技術検定は、第一次検定と第二次検定に分かれています。第一次検定に合格すると「1級建築施工管理技士補」のような技士補を、第二次検定に合格すると技士を名乗れます(建設業法施行令第40条)。1級の第一次検定は、19歳以上であれば受検できます(施工管理とは? 仕事内容・4大管理・1日の流れを法律から整理)。

2級から始める場合の受検資格や、実務経験として数えられる経験は、未経験から施工管理になれる? 資格なし・文系から技士への道で整理しています。

補助やアシスタントとして入った場合も、施工の管理に関わっていれば実務経験として申請できます。ただし、現場事務や雑務だけの期間は数えられません(施工管理アシスタントとは? 事務との違いと実務経験になる条件)。

1級技士補は、監理技術者補佐になる道につながります。監理技術者補佐を現場に専任で置くと、監理技術者はその現場に専任でなくてもよくなります(建設業法第26条第3項第2号)。兼ねられる現場の数には上限があります(同条第4項)。

ただし、1級技士補であるだけでは足りません。国土交通省関東地方整備局の資料は、次のように説明しています。

一級技士補の資格を有するだけでは「監理技術者を補佐する資格を有する者」にはならないため、主任技術者要件も満たす必要があります。

出典:技術職員数(Z1)に係る改正(監理技術者補佐)について(国土交通省 関東地方整備局)

主任技術者の要件は、2級などの国家資格か、学歴と実務経験で満たします。両方を満たした監理技術者補佐は、経営事項審査で4点に数えられます。

2024年12月13日からは、ICTで現場の状況を確かめられることなどを条件に、1人の技術者が2つの現場を兼ねられるようにもなりました。兼任の条件と、国が進める省人化の計画は、施工管理の将来性は? AIでなくなるかを国の計画と法律で見るで整理しています。

資格を年収につなげるために確かめること

資格が年収にどう反映されるかは、会社の決め方で変わります。求人票や面接では、次の点を確かめます。

資格を生かして会社を移るときの選択肢は、施工管理からの転職先は? 同業・発注者側・異業種の3つの道で整理しています。

資格手当の額や、監理技術者として配置される前提かどうかは、求人票に書かれていないこともあります。建設業界専門の転職エージェントの面談で、今の資格がどの会社でどう評価されるのかを聞く方法もあります。面談は無料です。ビルドジョブ|建設業界特化の転職エージェントの無料キャリア面談

施工管理技士の資格は、独立して建設業の許可を取るときにも使えます。営業所ごとに置く営業所技術者の要件を、資格で満たせるためです。経営の経験など、資格では満たせない要件は施工管理で独立するには? 許可の要件とフリーランスを法律で見るで見ています。

参考にした資料