内装の施工管理は、オフィス、店舗、住宅、ホテルの内装工事を管理する仕事です。建物の骨組みができたあとの、人が実際に触れる部分を仕上げていきます。

内装には、他の工事にはない特徴があります。使える材料そのものが法律で決められているという点です。しかも「内装」という言葉が指す範囲は、条文によって違います。この記事では、まず建設業法の上での内装仕上工事の範囲を確かめます。そのうえで、建築基準法の内装制限とシックハウス対策、消防法の防炎が、それぞれ何をどこまで縛っているのかを条文で整理します。

確かめたこと分かったこと
呼び名と業種名「内装仕上工事業」は建設業法の29業種に実在する。ただし「内装施工管理技士」という資格はない(技術検定の7種目に内装はない)
内装仕上工事の範囲告示の例示には、天井仕上・壁張り・床仕上の他に家具工事と防音工事も入る。ただしホールの音響を目的とする工事は入らない
法律の「内装」条文ごとに範囲が違う。シックハウスの「内装」は壁・床・天井と建具、内装制限は壁と天井だけで床は入らない
内装制限の対象壁は床から1.2mを超える部分、天井は室内に面する部分。回り縁と窓台は除かれる
使える材料居室は難燃材料、そこから地上に通じる廊下・階段は準不燃材料。3階以上に居室がある建物の居室の天井は準不燃材料
住宅の調理室2階建ての最上階にあるキッチンは対象外。同じ家でも1階なら内装制限がかかる
シックハウス第一種の建築材料は使用禁止。第二種・第三種は面積に係数を掛けた合計が居室の床面積を超えてはならない
カーテン・じゅうたん建築基準法ではなく消防法第8条の3。高層建築物や地下街などでは防炎性能のあるものを使う
業界の数字内装仕上工事業の許可業者は92,608業者で管工事より多い。2000年から62.4%増
出典:建設業法施行規則、建築基準法・同施行令、消防法、国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」「建設業許可業者数調査の結果について」をもとに当サイト作成。

「内装仕上工事」の範囲は、告示で決まっている

建設業法は建設工事を29の種類に分けています(別表第一)。内装は、そのうちの内装仕上工事に当たります。設備やプラントのように複数の業種にまたがるのではなく、内装は一つの業種として法律に置かれています。ただし法律上の呼び方は内装仕上工事で、求人票の「内装施工管理」はその工事を管理する仕事を指す言い方です。工事の内容と例示は次の通りです。

項目内容
建設工事の内容(告示)木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事
例示インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事
出典:国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」(建設工事の内容は昭和47年建設省告示第350号)。

例示の後ろ2つは、言葉から受ける印象とずれるかもしれません。同じ資料に、こう注記されています。家具工事とは、建築物に家具を据付ける工事や、家具の材料を現場で加工・組み立てて据付ける工事をいう。防音工事とは、建築物における通常の防音工事であり、ホール等の構造的に音響効果を目的とするような工事は含まれない。たたみ工事とは、採寸、割付け、たたみの製造・加工から敷きこみまでを一貫して請け負う工事をいう。

据付ける家具は内装仕上工事で、コンサートホールの音響は違う。この線引きは、許可の業種と実務経験の数え方に直結します。業種の分かれ方そのものは建築施工管理とは? 仕事内容と建築士との違いを法律で整理で整理しています。

法律の「内装」は、条文ごとに指す範囲が違う

ここが、内装の施工管理で一番間違えやすいところです。建築基準法施行令には「内装」という言葉の定義があります。

居室(中略)の壁、床及び天井(天井のない場合においては、屋根)並びにこれらの開口部に設ける戸その他の建具の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この条(中略)において「内装」という。)

出典:建築基準法施行令 第20条の7 第1号(e-Gov法令検索)

注意したいのは、この定義に「以下この条(中略)において」と書かれていることです。つまりこの範囲は、シックハウス対策を定めた第20条の7などで使われるもので、内装制限の条文には及びません。実際に二つを並べると、対象が違います。

規制根拠対象になる部分
シックハウス対策建築基準法第28条の2第3号、同施行令第20条の7居室の壁・床・天井と、これらの開口部に設ける戸その他の建具の室内に面する部分(回り縁・窓台等を除く)
内装制限建築基準法第35条の2、同施行令第128条の5壁(床面からの高さが1.2m以下の部分を除く)と天井の室内に面する部分(回り縁・窓台等を除く)。床と建具は入らない
防炎消防法第8条の3どん帳、カーテン、展示用合板など、政令で定める防炎対象物品
出典:建築基準法第28条の2・第35条の2、同施行令第20条の7・第128条の5、消防法第8条の3。

床は、シックハウス対策では規制の対象ですが、内装制限では対象になりません。逆に腰壁(床から1.2m以下の部分)は、内装制限では自由に仕上げられますが、シックハウス対策では材料が制限されます。どちらか一方の頭で材料を選ぶと、片方の規制に引っかかります。

内装制限――どの建物の、どこを、何で仕上げるか

内装制限は、建築基準法第35条の2を受けた施行令第128条の4と第128条の5で決まります。まず、どの建物が対象になるかです。

区分対象になる建築物(主なもの)
特殊建築物劇場・映画館等(客席100平方メートル以上、耐火構造なら400平方メートル以上)/病院・ホテル・共同住宅等(3階以上の部分300平方メートル以上など)/百貨店・飲食店等(3階以上の部分1,000平方メートル以上など)
自動車車庫等自動車車庫、自動車修理工場(規模を問わない)
地階の居室地階または地下工作物内に設ける、上記の用途に供する居室
大規模建築物階数3以上で延べ面積500平方メートル超/階数2で1,000平方メートル超/階数1で3,000平方メートル超(学校等を除く)
火を使う室かまど、こんろ、ストーブ、ボイラー等を設けた調理室・浴室・作業室など
出典:建築基準法施行令第128条の4。同条は「制限を受けない特殊建築物等」を定める形になっているため、表は規模の条件を読み替えて整理しました。

次に、何で仕上げるかです。条文は場所によって材料を分けています。

場所求められる材料
居室の壁・天井難燃材料
居室の天井(3階以上の階に居室を有する建築物)準不燃材料
居室から地上に通じる主たる廊下・階段・通路の壁・天井準不燃材料
自動車車庫等、地階の居室、火を使う室準不燃材料
出典:建築基準法施行令第128条の5第1項から第6項。大臣が定める方法による材料の組合せでも認められます。

難燃・準不燃・不燃という区分は、火熱に耐える時間の違いです。いずれも3つの要件を、決められた時間だけ満たすものをいいます。燃焼しないこと、防火上有害な変形・溶融・き裂その他の損傷を生じないこと、避難上有害な煙またはガスを発生しないことの3つです。

区分要件を満たす時間根拠
難燃材料加熱開始後5分間建築基準法施行令第1条第6号
準不燃材料加熱開始後10分間建築基準法施行令第1条第5号
不燃材料加熱開始後20分間建築基準法第2条第9号、同施行令第108条の2
出典:建築基準法第2条第9号、同施行令第1条第5号・第6号、第108条の2。

居室より廊下の方が厳しいのは、火災のときに人が通る場所だからです。仕上げ材の選定でこの順番を取り違えると、検査で指摘を受けることになります。

住宅の調理室は、階によって扱いが変わる

火を使う室の内装制限には、住宅について細かい条件が付いています。条文は「制限を受けないもの」を定める形になっているので、読み替えると次のようになります。

同じ間取りのキッチンでも、1階か2階かで使える仕上げ材が変わるということです(建築基準法施行令第128条の4第4項、第128条の5第6項)。住宅のリフォームで内装を触るときに、この条件を知らないまま材料を選ぶと、直したあとで作り直しになります。

なお、内装制限には緩和の規定もあります。火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙やガスの降下が生じない建築物の部分には、内装制限の規定が適用されません。どの部分がそれに当たるかは、床面積、天井の高さ、消火設備・排煙設備の設置状況と構造を考慮して国土交通大臣が定めます(同令第128条の5第7項)。スプリンクラーと排煙設備を備えた大きな空間で、仕上げの自由度が上がるのはこの規定によるものです。

シックハウス対策は、材料の等級と面積で決まる

もう一つ、材料そのものを縛る規制があります。建築基準法第28条の2は、石綿その他の物質の飛散・発散に対する衛生上の措置を定めていて、その第3号を受けた施行令第20条の7がホルムアルデヒドの基準を決めています。

区分ホルムアルデヒドの発散量(夏季・表面積1平方メートルにつき毎時)扱い
第一種ホルムアルデヒド発散建築材料0.12ミリグラムを超える居室の内装の仕上げに使用できない
第二種ホルムアルデヒド発散建築材料0.02ミリグラム超〜0.12ミリグラム以下使用面積に係数を掛けた合計が、その居室の床面積を超えてはならない
第三種ホルムアルデヒド発散建築材料0.005ミリグラム超〜0.02ミリグラム以下同上(係数は第二種より小さい)
上記のいずれにも該当しないもの0.005ミリグラム以下として大臣の認定を受けたもの制限を受けない(同条第4項)
出典:建築基準法施行令第20条の7第1項・第4項。

係数は、居室の種類と換気の条件で変わります。例えば住宅等の居室で、換気回数0.7回以上の機械換気設備を設けた場合、第二種は1.2、第三種は0.20です。換気設備がない住宅等の居室では、第二種2.8、第三種0.50と重くなります。換気を確保するほど、使える面積が広がる仕組みです。

加えて、居室には換気設備を設けることが求められます。必要な有効換気量の計算に使う換気回数は、住宅等の居室で0.5、その他の居室で0.3です(同令第20条の8第1項第1号)。住宅でよく聞く24時間換気は、この条文から来ています。

内装の施工管理から見ると、材料の等級表示を確かめる作業と、換気設備が計画どおり動くことを確かめる作業が、同じ一つの規制でつながっていることになります。設備側の考え方は設備施工管理とは? 管工事の仕事内容と必要な資格を法律で整理で整理しています。

カーテンとじゅうたんは、消防法の側の決まり

内装に関わる規制は、建築基準法だけではありません。垂れ下がるものや敷くものは、消防法が受け持っています。

高層建築物若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。

出典:消防法 第8条の3 第1項(e-Gov法令検索)

この条文には、続きがあります。防炎性能を有するものには、その旨の表示を付けることができる(第2項)。表示が付いていないものを防炎物品として販売したり、販売のために陳列したりしてはならない(第4項)。そして、防火対象物の関係者は、防炎対象物品に防炎性能を与える処理をさせたときや、表示のある生地からカーテンを作製させたときは、その旨を明らかにしておかなければならない(第5項)。

内装制限が建築主事や指定確認検査機関の確認・検査で見られるのに対して、防炎は消防機関が見る世界です。同じ現場の同じ部屋でも、壁と天井は建築基準法、カーテンとじゅうたんは消防法と、確かめる相手が分かれます。

天井については、もう一つ建築基準法側の決まりがあります。屋根ふき材、内装材、外装材、帳壁などは、風圧や地震その他の震動・衝撃によって脱落しないようにしなければなりません(建築基準法施行令第39条第1項)。さらに特定天井、つまり脱落によって重大な危害を生ずるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める天井は、大臣が定めた構造方法を用いるか、大臣の認定を受けたものとする必要があります(同条第3項)。

主任技術者の入口は、29業種で最も広い部類

先に押さえておきたいことがあります。「内装施工管理技士」という資格はありません。技術検定の種目は建設機械・土木・建築・電気工事・管工事・電気通信工事・造園の7つで、その中に内装はないからです(建設業法施行令第37条第1項)。内装の現場に建築施工管理技士を持つ人が多いのは、そのためです。

内装仕上工事業の主任技術者になる方法は、建設業法施行規則第7条の3の表で7通り定められています。29業種の中でも多い方です。

号内装仕上工事業の主任技術者になれる人
一1級建築施工管理技士、または2級建築施工管理技士(検定種別「仕上げ」)
二1級建築施工管理の第一次検定に合格した後、内装仕上工事に関し3年以上の実務経験
三2級建築施工管理の第一次検定、または第二次検定(種別「建築」「躯体」)に合格した後、内装仕上工事に関し5年以上の実務経験
四一級建築士または二級建築士
五1級の技能検定(畳製作、内装仕上げ施工、表装)に合格した者。2級なら合格後3年以上の実務経験
六建築一式工事と内装仕上工事に関し12年以上の実務経験(うち内装仕上工事8年超)
七大工工事と内装仕上工事に関し12年以上の実務経験(うち内装仕上工事8年超)
出典:建設業法施行規則第7条の3の表(内装仕上工事業の欄)。

読みどころは2つあります。1つは、2級建築施工管理技士なら検定種別が「仕上げ」でなければならないことです。同じ2級でも「建築」や「躯体」では、第三号の実務経験5年が必要になります。もう1つは、職人の側からの道が用意されていることです。畳製作、内装仕上げ施工、表装の1級技能士は、それだけで要件を満たします。大工として12年やってきた人にも第七号の道があります。

2級建築施工管理技士の種別「仕上げ」は、内装仕上の他にも大工、左官、石、屋根、板金、ガラス、塗装、防水、熱絶縁、建具など12業種に対応します。種別の選び方で就ける立場が変わる仕組みは施工管理の資格とは? 7種類の技士と29業種の対応を法律で整理で29業種について数えました。未経験から資格を取る順番は未経験から施工管理になれる? 資格なし・文系から技士への道で確かめています。

許可業者は9万を超え、25年で6割増えた

内装仕上工事業の許可を持つ会社は、2026年3月末で92,608業者でした。許可業者全体483,823業者の19.1%にあたります。前の年から2,063業者(2.3%)増え、これは解体工事業、塗装工事業に次いで3番目に大きい増加数です。2000年3月末の57,026業者と比べると62.4%増えています。

業種許可業者数(2026年3月末)2000年3月末からの増減
建築140,96737.8%減
土木130,83322.1%減
内装仕上92,60862.4%増
管91,1683.0%増
電気66,53423.8%増
出典:国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について(令和8年3月末現在)」表-3。

建築工事業と土木工事業が減り続ける一方で、内装仕上工事業は管工事業を上回る数まで増えました。建物を新しく建てる仕事より、できあがった建物の中を作り替える仕事が積み上がっていることの表れと見ることができます。

年収については、賃金構造基本統計調査に「内装施工管理」という職種はありません。建築技術者(1091)に含まれると考えられ、令和7年の調査でその年収の目安は約679万円でした。ただしこれは建築士や設計の技術者も含んだ数字です。年代別・会社規模別の数字は施工管理の年収は? 賃金統計で見る年代別・会社規模別の目安で見ています。

内装の施工管理を目指す・移る前に確かめること

内装の経験は、建築一式工事の実務経験とは別に数えられます。同じ建築の現場にいても、どの業種の経験として扱われるかで、次に就ける立場が変わります。すでに資格や経験がある人は、建設業界専門の転職エージェントの面談で、今の経験がどの業種の実務経験として評価されるのかを聞く方法もあります。面談は無料です。ビルドジョブ|建設業界特化の転職エージェントの無料キャリア面談

数字を読むときに気をつけること

参考にした資料